いまだ旧式の冷却装置ワームタブを使用しているという、そのお味は?
サトイモの感想:原酒の力強さと樽の融合を感じる!
好き度:6/10
コスパ:8/10 定価¥5500円
- 三郎丸蒸留所のウィスキーが好きな方
- 原酒ウィスキーと樽熟成ウィスキーの中間を感じたい方
- ボトラーズボトルの醍醐味を味わいたい方
香り:フローラルでフルーティ、麦の甘さ
味わい:酒質のヘビーさを思わせる、焼酎に似たスピリッツ感もあり、スパイシー
少しの加水でまろやかスムーズに、黄色いフル―ティが開く
ハイボールが素晴らしい!ピート寄りの味わい、変な比較になるが三郎丸蒸留所の硫黄感を残したピートフレーバーやや似ているような…
オフィシャルでは出回ていなくて、ダグラスレインのオールドパティキュラーシリーズ、マスター・オブ・モルトのダークネスシリーズなどのボトラーズブランドで確認することができる。
KINGSBURY(キングスバリー)とは?
キングスバリーは、老舗のボトラーズメーカーです。
ボトラーズとは?
自前で蒸留所を持つのではなく、蒸留所から樽を買って、自社で瓶詰、販売を行います。
それで蒸留所のオフィシャルボトルにはない変わり種のボトルをさらに熟成、販売することも可能です。
変わった樽を使用したり、今回のような若いウィスキーを販売したり。
それで、シングルモルト自体それぞれが個性的なのですが、ボトラーズボトルになると、さらに新しい発見や個性を見出せると考えられています。
そして、昔から蒸留所にとってボトラーズ会社はありがたい存在。
なぜなら、毎年毎年出荷が安定しているわけではないから(2022年現在はウィスキーブームが続いているため無茶苦茶安定している。というか原酒不足がずっと続いている…)。
ウィスキー消費が落ち込むなら蒸留所内に大量のウィスキーが余り、持て余してしまうので、安定的に買い付けてくれる会社があれば助かるわけです。
とはいえ、熟成に3年~10数年以上かかる蒸留所の都合と、消費者のトレンドの都合がいつも折り合うわけではなく、多くの蒸留所がこれまで閉鎖を余儀なくされてきました。
キングスバリ―のセレクションシリーズとは?
(2013年には)スコットランドには110の酒蔵・蒸留所があり、それぞれに個性豊かな味わいのシングルモルトウィスキーを生産しています。
キングスバリー・セレクションシリーズは、厳選した樽の味わいを損なわないように、無添加及び低温濾過せずに瓶詰されたウィスキーです。
温度変化によってうまみ成分が固形化し、澱や曇りが発生する場合がありますが、品質には問題なく、また人体への影響も一切ありません。
ボトル情報
年数 | 5年 |
蒸留年 | 2008年2月 |
瓶詰年 | 2013年6月 |
地域 | スペイサイド |
樽 | ホグスヘッド |
カスク№ | 18 |
濾過 | 無濾過 |
ボトル生産量 | 409本 |
度数 | 43% |
容量 | 700ml |
瓶詰業者 | キングスバリー |
バルメナック蒸留所について
参照:世界のウィスキー図鑑 デイブ・ブルーム:著
スコッチウィスキー・トレイル (2016)
- 主なブレンド先:ロイヤル、カリス、ピータードーソン
- 年間生産量:280万ℓ
18世紀後半から19世紀初頭にかけて小規模な蒸留が実質的に禁じられ、ウィスキーを収入源にしていた田舎の人々は断罪された。
当時、ウィスキーづくりにはごまかしがつきものだった。
クロムデールの丘というひっそりとした立地条件は、密造からバルメナック蒸留所を立ち上げた創業者ジェームズ・マクレガーにとって好都合だった。
スペイサイドは行政区分的には確かに地域としては存在するが、単一のものとしては到底とらえらえれない。
そこには相対する古さと新しさ、あるいは暗闇と光がある。
小型スチルと木製のウォッシュバック、そしてワームタブを備えたバルメナック蒸留所は古いスタイルに属している。
こうした古くからの機器類があのヘビーで重々しく、かつ力強い風味を生み出すのだ。
簡単にいうと、ライトな特徴はスチル内で銅と豊富に接触することによって生まれる。
アルコール蒸気と銅の対話する時間が長いほど、スピリッツは軽くなる。
冷却時間も長いほど同じ効果があるし、高温で蒸留する、あるいはカットポイントを早めにしても軽い特徴が生まれる。
反対に、水を満たした桶に銅管を鎮めて冷却する古来の技術(ワームタブ)を用いると、蒸気と銅の対話時間が短くなるため、よりヘビーなスタイルになる。
その場合、ニューメイクの段階では硫黄の匂いが生じることが多い。
覚えておいてほしいのだが、硫黄臭は控えめな複雑さが生まれる指標であり、スピリッツが熟成されると、このにおいは消える。
「バルメナック、アンノック(ノックドゥ)、オールド・プルトニー、スペイバーンにはワームタブがある」バルメナック蒸留所を所有するインバーハウス社でマスターブレンダーを務めるスチュアート・ハーベイはこう話す。
「だから蒸留中のスピリッツにはあまり銅の成分と反応させないが、発酵中に生まれる硫黄化合物は維持するようにしているんだ。その結果ゆでた野菜や肉のような風味、マッチをすったときのような特徴を持つニューメイクができる」
彼はさらに続ける。
「熟成中に硫黄化合物と樽の炭化槽が反応しあうことによって、熟成後のウィスキーはトフィーとバタースコッチの風味が生まれる。熟成すると硫黄化合物の種類によって、異なるニューメイクの特徴が際立ってくる。硫黄化合物が重層的になればばるほど、熟成には時間がかかる」
熟成前はコクがあり、熟成すると濃厚でヘビーな個性をまとうようになる。
残念ながら、このウィスキーにはめったにお目にかかれない。
インバーハウス社はシングルモルトのボトリングに関しては秘密主義を貫いているのだ。
しかしボトラーズ製品を探せば、昔ながらの味を見つけられるかもしれない。
まとめ
オフィシャルでは出回らないバルメナック!
なかなかにして個性的なウィスキーでした!
先日飲んだ同じセレクションのアベラワーと同様、5年熟成と樽の影響がまだまだの状態での出荷ものです。
なので原酒の個性がはっきりと表れる。
やはり原酒により個性がはっきりと違うのだと確認させられる体験でした。
沼にはまってウィスキーをある程度飲み進めると、バーボン樽とシェリー樽で味決まるよね~という感じになりました。
が、しかし原酒の段階で個性と方向性、そしてバーボン樽にあうか、シェリー樽にあうか、ホワイトオークにするか、それぞれが蒸留所の経験と挑戦によるものなんだなあ、と感じ入りました。
ボトラーズボトルの試みも面白いですね。
これからボトラーズも勉強していきたいと思います。
では、今日も夜な夜な琥珀色、また!