これまた地味な感じなボトルだが…?
サトイモの感想:フローラルフルーティの極み、満点!
好き度:10/10
コスパ:10/10 参考価格¥5000円前後
- スペイサイドのど真ん中の味わいに関心がある方
- 熟したフルーティ、華やかフローラル、はちみつの甘味などが好きな方
香り:香りが強く素晴らしい、フルーティな香り、洋ナシ、熟したパイン、ウッディ
味わい:リッチテイスト、甘みが先にきて、その後渋みがおしよせるが悪くない、スウィート&スパイシー、フルーティでフローラル、シナモン、モルティ感もあり
香りが濃厚でうっとり…
クラガンモア蒸留所について
参照:スコッチウィスキー・トレイル (2016)
:世界のウィスキー図鑑 デイブ・ブルーム:著
- 年間生産量:220万ℓ
- 主なブレンド先:オールドパー、ホワイトホース、ヘイグ、ジョニーウォーカーグリーンラベル
酒税法が改正された1823年以降に蒸留家が直面した課題の1つは、自分の商品を市場へ運ぶ方法だった。
険しい山道は、密造時代には利点だったに違いない。
しかし、新市場への商品輸送が不自由な状況は、新たな蒸留家の多くにとって障壁となり、彼らの苦労は1860年代まで続いた。
しかし、1869年にストラススペイ鉄道が敷設されると、事態が好転に向かった。鉄道は、ダフタウンとボート・オブ・カーデンをつなぎ、パースや人口の集中しているセントラルベルトまでつながった。
ベンリネス地域で最初にこの恩恵を受けた蒸留家はジョンスミスだった。
彼は1869年、バリンダロッホ駅のすぐ隣にクラガンモア蒸留所を建てたのだ。
彼は非常に大柄な男だった。ある意味、その体格のせいで、彼は過小評価されたといえよう。どうしても立派な腹周りのサイズばかりが注目され、革新的な蒸留家としての、天与の才にスポットが当たらないのだ。
しかし、ジョンは、ザ・グレンリヴェット蒸留所を作ったジョージスミスと血縁があり、同蒸溜所で責任ある役職についた。
その後、ダルユーイン、マッカラン、南下してウイショウにあるクライズデール蒸溜所でも働いた。スペイサイドに戻った彼は、グレンファークラス蒸溜所で、短期間働いた後、ついにスペイ川蒸溜所の近くに土地を借りることになる。
いまやクラガンモア蒸留所お蒸留室ではコンピュータが使われているが、スミスのウィスキー作りの手法は現在も健在だ。
スミスがこの地に蒸留所を建てたのは実用的な理由からだったが、中に入ると、彼の蒸溜家としての創造性に目を奪われる。
すでに彼の蒸留所で様々な仕様のスチルを見ていた。
ライトなスタイルを目指していたザ・グレンリベット、ヘビー志向のマッカランとグレンファークラス、そして3回蒸留を行っていたクライズデール。
そしてとうとうスミス自身が求めるウィスキーを作るチャンスがやってきたのだ。
クラガンモア蒸留所の工程はいたって普通で、軽くピートを効かせたモルトを木製のウォッシュバックでじっくり発酵させる。
彼の才能が最もはっきりと表れれているのは蒸留室だ。
大きなウォッシュスチルには鋭角に曲がったラインアームが付けられ、ワームタブへとつながっている。
スピリットスチルの頭部は平らになり、緩やかに傾斜した長いラインアームが取り付けられている。
ここでは還流がキーワードだ。
一体スミスはどんなスタイルのスピリッツを作ろうとしていたのだろう。
こうした設備を見れば見るほど混乱してくるし、矛盾しているように思われる。
巨大なウォッシュスチルは、大量の蒸気が還流することを示し、つまりライトなスピリッツを意味する。
しかし下に向かて急角度のついたラインアームは還流による蒸気と銅の接触が長引くのを抑える役割を果たす。
そのラインアームが冷たいワームタブにつながっているということは、スピリッツはヘビーになるはずだ。
スピリットスチルはさらに混乱を招く。
アルコール蒸気は平らな頭部にぶつかって還流を起こし、攪拌されるローワインと再び混ざる。
ラインアームは頭部から分岐しているため、フレーバーと蒸気の反応も限られたものになるはずだ。
そのラインアームは長く緩やかに傾斜しており、蒸気と銅がじっくり交流するということを示している。
全ては銅との接触時間を長くするための仕組みだとしか考えられないがのだが、小型のスチルとワームタブがあるのはいったどういうことだろうか。
その答えはといえば、スミスが蒸留の熟練工であり、自分が作るスピリッツにできるだけ複雑な特徴を加えたかったということだ。
クラガンモアはわかりにくいかもしれないが、想像をかきたてる蒸留所でもある。
スミスのような人物はけして、漫然とビールを煮込むだけの無教養な人間ではない。
革新者であり、試行錯誤をいとわない開拓者だったのだ。
現在クラガンモア蒸留所では硫黄の個性の強い、コクのあるスピリッツを年中つくっている。
ニューメイクから感じられる硫黄の特徴の裏には、熟成によって生まれる複雑な個性が見え隠れしている。
それはさながら、秋に実る果実、あるいはバリンダロッホの暗い森の夕暮れ時にきらめく木漏れ日のようだ。
まとめ
うんまぁあ!
満点でました!
スペイサイドは結構飲んできましたが、久しぶりにヒット作に出合いました!!!
ここまで香り立ちが強いと、香水がわりにつかえる!
味わいもしっかりで、スペイサイドの良いところを凝縮したような子。
地味な見た目に騙されました。
調べると、ユナイテッド・ディスティラリーズ(ボトラーズ会社のUD社)が推奨するクラシックモルトシリーズにも選ばれているウイスキー。
クラシックモルトシリーズとはスコッチウイスキーの地域別に代表的なシングルモルトを挙げたシリーズ。
ウイスキー初心者にも大まかなウイスキーの特性を知ってもらうという目的も兼ねて選ばれたシングルモルトでもあります。
確かにこれは代表として選出されるだけのことはあるわ…
その他の代表は、
・北ハイランドのダルウィニー
・西ハイランドのオーバン
・ローランドのグレンキンチ―
・アイランズのタリスカー
・アイラのラガブーリン
半分以上飲んだことがない…気になりまくる…
旅は続きますね。
ではでは今日も夜な夜な琥珀色、また!