サトイモの感想:力強く、繊細…!
好き度:7/10
コスパ:6/10 (22/8月 参考価格¥4500~5000円→23/2月 ¥6500円)
度数:48%
香り:バニラアイス、ハチミツ、カラメル、若干バーボンの溶剤感、柑橘系フルーティ、ピーティさは感じられない
味わい:味わいはスウィート、バニラ、ハチミツ、ナッツ、モルティ、若干の苦みスパイシーさも感じられる、余韻にシナモン
いままで飲んだどのクラフト蒸留所のブレンデッドとも違うね!
静岡蒸留所生まれのモルトウィスキーWとKが、海外ウィスキーと出会い、ブレンデッドウィスキーが誕生しました。
力強い外国産のモルトとグレーンとともに、繊細な味わいの日本産のモルトも揃って、個性溢れるアンサンブルを奏でます。
感想
ガイアフローの成り立ちを知ると、大体他のクラフト蒸留所は焼酎、日本酒の蔵元があったり、ビールを作っていたりの背景があったりするのですが、一からの開始ですごいですね!
シングルモルト、ガイアフローKは、きっと軽井沢蒸留所のKなのでしょう。
閉鎖した軽井沢蒸留所については、秩父蒸留所の紹介ブログで少しふれています。
味わいとしては、キリン富士山麓系のバーボン寄りとニッカのどっしりした濃厚さを足して2で割ったもののように感じました。
斬新であり、古きを愛す、今後が楽しみな蒸留所です。
今日も夜な夜な琥珀色、ではまた!
ガイアフロー静岡蒸留所について
参照資料: :ジャパニーズウィスキー第二創世記 和智英樹/高橋矩彦・共著
近年、クラフトウィスキーと言われる少量生産を特徴とするマイクロディスティラリーの設立が世界的に大きな流れとなっている。
アメリカではここ数年で600とも700とも言われる数の蒸溜所が開設されてブームとなり、イギリスでも30から40軒。
アイルランドでも30軒以上もの新蒸溜所が生まれている。
こういう世界的なウイスキーシーンのうねりの中で生まれたこの静岡蒸留所も、2016年12月にファーストフィリングが行われた。(最初の樽詰め。)
しかしクラフトディスティラリーとはいってもその規模はかなり大きい。
敷地は市有地を借用したもので面積は2000平方メートル。
場所は静岡の市街地から北に25キロメートルほど進んだ南アルプス前衛の山懐に立地しており、地勢的には安倍川の支流、中垣内川の畔の玉川地区にある。
真新しい蒸留所の建物には、様々な蒸留設備の設置に並行してテイスティングルームが設けられた。
立ち上げたばかりの新蒸留所にテイスティングルームはいかにも不釣り合いに見えるのだが、そこにはオーナーである中村大航氏の遠大かつ周到な事業計画が見え隠れする。
ガイアフロー株式会社の立ち上がりは、2012年であるがこの会社自体は酒類とは縁もゆかりもない再生可能エネルギーを業務とする会社であった。
それまでは単にドリンカーとしてウイスキーファンであった中村氏はこの年ヨーロッパに旅することになる。
モルトウィスキーに傾倒していた氏は、その目的地にウイスキーの故郷スコットランドも当然組み入れた。
この旅で訪れたアイラ島のファーム農場、ディスティラリー、キルホーマンが彼に大きなインスピレーションを与えた。
その規模の小ささではエドラダワーと並んで小規模蒸留所ならではの手作り感をアピールする。
新興の蒸留所であるが、このサイズ感、雰囲気との出会いが彼にウイスキー作りへの想念を芽生えさせた。
そして即行動に出る。
この業界に参入するにあたってまず日本に未輸入の蒸留酒を輸入して販売することを考えた。
インポーターとして実績を積むことで業界デビューを図ったのである。
そして2013年には、ボトラーのブラックアダーの総代理店となり、ズイダム(オランダのシングルモルト)、インド産のシングルモルト、アムルットなど、取り扱いブランドも増え、軌道に乗ったところで、翌2014年、蒸留所建設を現実のものにするため、ガイアフローディスティリング株式会社を設立する。
ガイア(大地. 、地球)、フロー(流れ)という創作名は、大地の産物=ウイスキーと言うイメージの中で確固たる形を形成しつつあった。
蒸留所建設による地元との共存共栄である。
このプランが地域振興を進める静岡市を動かすこととなり、用地の確保に大きくものをいった。
だから、蒸留所見学者の集客も地域振興の1つであり、テイスティングルームのプランもその一環である。
蒸留器は建物の建設に先立って2014年にはフォーサイス社(スコットランド)に発注。
2015年には、閉鎖されたメルシャンワインの軽井沢蒸留所の設備売却の入札に参加して、払い下げ設備一式を入手する。
そしてこれらを2015年に着工していた蒸留棟に移設し、蒸留免許の交付を待って製造開始となった。
モルトミルではこの入札で軽井沢より導入したポーティアス社(スコットランド)で、ディストナーリスト(小石やゴミを選り分ける装置)も同様である。
しかし同時に軽井沢から導入したランタン型ポットスチル4基は、経年摩耗でそのままの使用は不可能。4基を1基に組なおして初りゅう、再りゅうを1つのスチルで行うと言う手間のかかる手法を取らざるを得なかったのである。
ひとまず2016年の12月には第1号カスクに静岡蒸留所の最初のニューポットが満たされた。
ウェアハウスは現在は一棟だが広い敷地には拡大の余地を十分に残してある。
現在はダンネージ式で熟成するが、寒暖の差が小さいこの地方の風土の中でどのような個性の原酒が育まれるのか興味が尽きない。
樽はアメリカからバーボン樽を自社で輸入し、この建物の片隅にはタガ締め機を装備して、樽のタガ調整を行っている。
三宅製作所生の最新型糖化槽(マッシュタン)は断熱と保温のためステンレスが1枚でタンクを覆っている。グリスト約1トンで糖化を行う。
4000リットル、次に2000リットルの湯を混ぜて麦汁を作る。
手のかかるオレゴンパイン製の発酵槽(ウォッシュバック)と杉の発酵槽一基。それぞれ約8000リットルの容量。蓋は静岡産の杉材を使用する。その後に7基の増設も視野に入れてスペースは確保されている。泡切りの刃は軽井沢蒸留所のものを再利用する。
シングルモルトS・K・Wの名前の由来について
現在のラインナップはブレンデッドⅯとシングルモルト・ガイアフローS・K・Wの3種類。
公式のホームぺージでは、S・K・Wについてこう紹介されています。
静岡蒸溜所では、KとWという2基の初留蒸留機を使い、2種類の個性が異なった原酒を生み出しています。
Wは、唯一無二の薪直火蒸留機の愛称。
直火の蒸留機は世界的にも数が限られており、その中でも他に類を見ないのが薪を燃料とした蒸留機です。
静岡の豊かな山の営みから溢れでた針葉樹の間伐材を、地元のきこりがひとつひとつ丁寧に割って薪にします。
200年以上前の蒸留技術を蘇らせ、薪を燃やしてウイスキーを蒸留。
Kは、1950年代に日本で製造された歴史ある蒸留機。
今は無き蒸留所から静岡蒸溜所に移設され、伝説の蒸留機は不死鳥のごとく蘇りました。
そのしなやかに伸びた優美なシルエットと、蒸気の間接加熱により、軽やかで華やかな味わいの原酒を生み出しています。
その両方の原酒を初めてブレンドしたシングルモルトが、コンタクトSです。
その素直で心地よくバランスの整った味わいは、円(サークル)に例えることができるでしょう。
蒸気加熱のKがフルーティーな香りとライトな味わいを持ち、円の上半分を成し、薪直火によるWがヘビーな味わいと長いフィニッシュを感じさせ、円の下半分を支えます。